4位 九想 19点
着ぶくれし吾が子よちよちついてくる 4
年惜しむ雲の流れの速さかな 6
年暮るる手酌なれども豊かなり 9
大晦日、句会のことをまったく失念し、
寝る間際に作ったにしては、
そこそこの成績によろこんでいます。
「着ぶくれ」
「着ぶくれ」という季語から、
私の世界である“暗さ”が感じられない。
そうするとイメージがわかないのです。
イメージがわかないと句想が広がらない。
大人のひとの着ぶくれを句には出来なかった。
そんなことを考えているうちに、
息子たちの小さなときのことを思い出した。
2、3歳頃の冬、風邪を引かせてはいけないと思い、
沢山着せていた。
その着ぶくれの息子たちを、
「部屋の掃除をするから散歩にでも連れてって」
と女房にいわれ、
団地の隅の公園などによく行ったものだった。
おんなじ顔(なにしろ一卵性双生児なのだ)の
UとKが私のあとをついてくる。
とても可愛かった。
「年惜しむ」
去年は、私にとって最悪の年だった。
職場での昼休み、
青空にめがけて煙草の煙を吹きかけていると、
思わぬ速さで雲が行くのが見える。
その雲の速さが、
年惜しむの感慨を加速させるようでした。
「手の字のつく句」は、
1/3にここに書いたように、
差し入れし手に火のような乳房かな
が最初に出来た句だった。
でも季語がないので断念し、
投句した句になった。
これが思いのほか選句され、とてもうれしかった。
へたなひとと飲んでるより、
ひとりのほうが楽しく酒が飲める。
そんなことを詠んだ句です。