九想庵

埼玉の田舎で暮らしています

蕎麦掻き

木曜日、今年初めて楽家に行った。
閉店近くまでいたら、Aさんがそば粉を持ってきて、
マスターに「蕎麦掻きを作ってくれ」といった。

できた蕎麦掻きは、そこにいた客たちに振る舞われた。
私もいただいた。
ああ…、この味だ。
この蕎麦粉の香り。
うまかった。
焼酎のお湯割りにも合った。

私の実家では蕎麦を栽培していた。
山のほうの畑に作っていた。
あの小さい白い花がかわかった。
黒い実がきれいだった。

おふくろは、たまに蕎麦を打ってくれた。
あの蕎麦が好きだった。
あの味の記憶があるために、
そこらへんの蕎麦屋で食べられない。

いつか私も蕎麦を打ってみたいと思う。
そんなことを女房にいうと、
「蕎麦なんかより、フライを揚げるとか、
 餃子を作るとかしてくんない。
 ショウガ焼きとかみそ汁でもいいな」
女房は勘違いしている。
そして楽をしょうと思っている。
私は料理をしたいのではない。
うまい蕎麦が食べたいだけなのだ。