九想庵

埼玉の田舎で暮らしています

ヘアーサロンヤマサ

昨日、仕事を終えて職場を離れ車を運転しているとき、
日がのびたなァと思った。
暗いときは佐久市内を通って帰るのだが、
山道を抜ける裏道に車を向けた。
こっちは勾配のきつい坂を登ったり下ったりが多い。
それでも、ずーっと浅間山を目がけて走る感じがいい。
それに信号も山道を走るので少ない。
追分のところで国道18号に出る。

急に髪の毛を切りたくなった。
いや、もう何日も前から散髪したいな、とは考えていた。
なにしろ前回床屋に行ったのが年末だった。
もう2ヶ月半行ってない。
かなり見苦しいヘアースタイルになっているだろう。

いつも思うのだが、このまま髪の毛を伸ばそうかなとも考える。
20代のときは肩まで伸ばしていた。
しかし、年なんですかね。髪がある程度長くなると煩わしくなる。

18号バイパス沿いにあるヘアーサロンヤマサの駐車場に車を入れる。
これまでは電話して行っていた。
ここは、軽井沢で評判のいい店なのかいつも客がいる。
電話して予約しないと難しい。
でも、待たされてもいいやと思った。
客がいたら諦めて帰ろう。

店に入っても何もいわれなかった。
「このあと予約のお客様がいますので、今日はちょっと…」
なんていわれるかな、と覚悟していた。
週間文春を読んで10分ほどしたら1人の客が終わり、呼ばれた。
私はネクタイを外し、ジャケットを脱いでイスに坐った。
私としては解放された状態で散髪されたかった。
お母様が私の相手をしてくれた。
ということは、やっぱりいきなりイスを倒された。
髭を剃ってくれるのです。

ヘアーサロンヤマサでは、髪のカットはご主人がする。
髪のシャンプー、髭剃りは奥さんがやる。
ときおりお母様も髭剃りをしてくれる。
きっといきなり来た客なのでそれへの対応なのだろう。
私としてはこれまで散髪屋に来て、
髪を切る前に髭を剃るという経験はなかった。
髪がすっきりしないうちに髭を剃ってもらうというのは初めてだ。
なんかへんな気持ちだった。

なのに髭をお母様に剃ってもらっているときに、
私は熟睡してしまった。
私は、床屋で髭をあたってもらっているときがこの世の極楽なんです。
イスが起こされて目が覚めた私は、ご主人にあらためて挨拶をした。
それから軽快にご主人のハサミが動く。
しばらくして、声をかけてくる。
「禁煙続いていますか?」
「ハイ、なんとか」
このぐらいしか話はない。

こっちから話題を出そうと思えば出せるが、
おとなしく髪を切っていてもらいたかった。
昨日は初めてご主人が洗髪をしてくれた。
これまでは奥さんだった。
力強く気持ちよかった。
他に客はいなかった。
私で今日の営業は終わりのようだった。