昨日女房が、
「うちのテレビ、テレビ埼玉観られるよね」という。
「観られるよ。どうして?」
「8時からの『カラオケ一番』という番組に、
Aさんが出るのよ」
Aさんというのは、女房が行く東京の美容院の美容師で、
最近、プロの歌手になった男性だ。
彼からきた年賀状に、
テレビとラジオに出演する番組と時間が書いてあった。
テレビは、埼玉テレビで、
ラジオは、新潟放送、岐阜放送とラジオ日本だった。
一昨年の10月の
「あるコンサート」という九想話に書きましたが、
その人は、ある演歌の作曲家について歌を勉強していた。
そして去年、「川空ゆう」という芸名でデビューした。
「あるコンサート」には、なぜか息子の大学の
グリークラブが出たので私も観に行き、
そのときAさんの歌を私は聴いた。
私は、Aさんの歌が気に入った。
叔母さんの見舞いから帰ってきて風呂に入り、
食事をしているうちに「カラオケ一番」が始まった。
息子たちはさっさと飯を食い、自分の部屋に戻っていった。
「私の知り合いが歌手になって、今からテレビに出るのよ」
と得意げに女房がいったのに…。
女房は、何人かの友だちに携帯電話でメールも打っていた。
この番組は、埼玉のスナックやカラオケの店が推薦した
歌のうまいお客がうたうというものだった。
いや~、めいっぱいローカル色豊かな番組で、
埼玉って、あらためて田舎だなー、としみじみ納得した。
こんなものを、Aさんが出るまで
観つづけなくてはならないかと思うと、泣けてきた。
司会は、あのビリーバンバンの菅原孝がやっていて、
番組に合わせているのか、本人がそうなのか、
低俗な“しゃべり”をしていた。
出演者が全員映り、審査員、ゲストの紹介が終わっても、
「川空ゆう」が出てこない。
そのうち、めいっぱい着飾ったおばさんや、
派手なジャケットを着たおじさんやおにいさんが
うたい始めた。
バックのセットもお粗末だし、
番組の合間に入るCMもサビシイものだった。
そのCMのとき、「川空ゆう」のスポットCMが流れた。
「おいおい、これなのか。これで終わりか、
年賀状になんて書いてある?」
「スポット出演て書いてある」
果たして「川空ゆう」は、演歌の星になれるのか。