10時頃本を読んでいたら、ドアフォンが鳴った。
出ると「速達です」という女性の声。
Kへの速達だった。
ノックをして部屋を空けるとKは寝ていた。
速達をそばにおいておいた。
いつのまにか私は寝ていた。
Kが女房に、「内定決まったよ」といっていた。
ああ、あの速達はそれだったんだ。
承諾書というのをKは書いた。
余所の会社には行きません、
という内容のものだった。
うちの息子たちは双子です。
生まれたときどちらも未熟児だった。
Uはすぐ退院したが、
Kは1週間以上病院にいた。
未熟児のことなど何も知らない私は
とても心配した。
Kは中学生のとき、
1年の3学期から2年の3学期まで、
ほどんど学校に行けなかった。
防衛医大の医師の診断によると、
「成長期にホルモンのバランスが崩れ、
体調がおかしくなっている」
ということだった。
Kは中学の勉強もろくに出来ず、
高校にも行けないのかな、と漠然と考え、
暗澹たる思いなった。
それがなんとか高校に行って、
大学生にもなった。
その2人が現在大学4年生。
就職どうなるかなと思っていたら、
Uは先月決まった。
そしてKの内定が今日分かった。
これで一安心です。
結果として2人とも、
コンピューターのソフトのSEという
同じ職種になった。
就職してから大変だと思う。
私は職業には恵まれなかったから、
息子たちには好きな仕事をさせたかった。
2人とも満足しているようだ。
私としてはこの日を祝いたかった。
しかし、息子たちはたんたんとしていた。
ビーシュで乾杯したかったが、だめだった。
さびしく自分1人で乾杯した。