私は川上弘美という作家の書いた小説が
好きなんだなとつくづく思う。
この「光ってみえるもの、あれは」(中公文庫)
もよかった。
主人公の江戸翠(みどり)の母親は著述業で、
父親はおらず祖母との三人暮らしだ。
しかし、父親は知っている。
小さいときからその家に遊びに来る大鳥さんという男がいる。
その大鳥さんが、翠の遺伝子上の父親である(らしい)。
翠には高校で同じクラスのガールフレンドがいる。
その平山水絵とセックスもしたことがある。
翠には花田という親友がいる。
一時期セーラー服を着て学校に通うという個性を持っている。
なんとも不思議な雰囲気を持っている登場人物たちだが、
それらの人たちの“生活”の展開がおもしろい。
私もその人たちの中にいるような気になってしまう。