「コールドゲーム」(荻原浩著 新潮文庫)を読んだ。
この小説はミステリー小説なんですね。知らずに読みました。
(これも読書好きな友人、しんちゃんにもらった本です)
私は、この人と一字しか違わない名前なので親近感を持っている。
この人の小説が読まれることによって、
「荻原」という名前が“メジャー”になることがうれしい。
(まだまだ「荻原」という名前は陰が薄いです。「萩原」には負ける)
荻原浩は、これから大きな作家になるのではないか、と私は思っている。
高校3年生が主人公のこのミステリー小説、
作者はいいところに目をつけたなと感心した。
中2のときに、クラスの半数以上からいじめられていた
「トロ吉」こと廣吉(ひろよし)が4年後に、
そいつらに復讐をするというのがこの小説の底辺にある。
トロ吉は、復讐する前に必ず携帯メールや手紙で本人に犯行予告をする。
自分が中2のときにされたいじめと同じようなことで復讐する。
その順番もあるルールによって実行される。
これはミステリー小説だから、
これからこの小説を読む人のためにあまり書かないほうがいいですね。
テーマが“いじめ”だから気持ちいい話ではない。
しかし、こういうことは現在もあることだろうし、無視できないことだ。
著者は、いじめられたトロ吉に心を傾けている。
しかし、いじめてしまった人間にも暖かい視線を向けている。
暖かいというのではないな、そのときの状況ではしかたないという“あきらめ”か。
それでも中2のとき、いじめには荷担しなかったが、
それらを見過ごしてきた主人公光也にはきびしい書きかたはしている。
いじめはしてないが、いじめるクラスメートに何もいわず
看過していた光也も復讐の対象になっていたのだ。
私はこれだけは書きたい、終盤がちょっと尻つぼみだな、と思う。
あ~これ以上、書くことはよそう。
ぜひ、この小説を読んで下さい。