九想庵

埼玉の田舎で暮らしています

課長バカ一代

松芝電機商品開発部企画課係長八神和彦が、
ある日“課長みたいなモン”に昇進した。
正式な肩書きは「課長補佐代理心得」というものだった。

販売促進部部長村上源二郎が派閥の拡張をもくろむ。
八神課長…を派閥に誘おうとしたとき、彼はきいた。
「ズバリ、年会費はおいくらでしょう」
「いや、うちはそういうシステムはないから」
それを聞いて安心して去っていった八神が戻ってきて、
「年会費がないということは、当然入会金も無料で…」
部長が叫ぶ。
「うちはビデオ屋じゃない」

松芝電機商品開発部ではいろんな商品を開発した。
ボールペン一体型のラジオ「ラジペン」。
電卓一体型懐中電灯「電卓ライト」。
洗濯槽と浴槽が一体化している「洗えん坊将軍」。
自動米とぎ機「コメっとさん」。
寝ながら観ることのできる「タテ長ロングテレビ」。
完全無音振動の次世代型洗濯機「駆動静か1号」。

私は久しぶりに、この“物語”を読んで感動した。
主人公八神課長…の“生きざま”に腹を抱えて笑った。
八神課長…は、多少のバカではない。
パーフェクトなバカだった。
正真正銘のバカなのです。

先週のある夜、女房が息子にきいた、
「なんか面白いマンガない?」
そして貸してくれたのが、
この「課長バカ一代野中英次著(講談社)だった。
最近マンガなどあまり読まない私が、
久しぶりにはまったマンガです。
劇画調の絵とギャグマンガのミスマッチ。
こういう世界を切り開いた野中英次は、
ただものではない。

人生に落ち込んでいるすべての人に、
読んでもらいたい作品です。
勇気も前向きな気持ちも得られません。
ただ、心の底から笑えるだけです。