九想庵

埼玉の田舎で暮らしています

“女房”仕掛けの

1時半頃家に帰った。疲れた。
私はシャワーを浴びニセビールを飲んだ。
そして寝た。
女房は、私の夕食の準備などをしていた。

3時半、私は目が覚めた。
なんかものすごい寂しい気持ちになった。
女房が、4時過ぎの高速バスで東京に帰る。
4時になり、女房が玄関を出る。
私が、車でバス停まで送っていこうというと、「いい」という。
2階の窓から見ると、女房がキャスター付バックを引いていく。
この前、買ったものだ。

私は、また電気の入ってないコタツにもぐり込んだ。
パソコンで東京のTBSラジオを聴いていた。
女房からメールがないな、と思った。
これまでは、いつもバスに乗るとメールが来た。
いつしかまた寝てしまった。

私は、なんかすべてのことにやる気がなくなった。
今の私は勉強をしなければならない。
この前受けた講習の勉強だ。
本も読む気がしない。
テレビも観る気がない。
要するになんにもする気がしなかった。

ゼンマイ仕掛けのおもちゃ、なんてのがある。
私は、“女房仕掛け”の人間だと思った。
女房がいないと何にもできない男だ。
あいつに、蹴飛ばされたり、おだてられたりして、
なんとか生きている男だ。

9時過ぎ、寒さで目が覚めた。
ケータイが光っていた。
出ると、私を長野に誘ってくれた友人だった。
女房が私にメールを送っても電話しても出ないので、
心配で友人に電話をしたという。
私は友人に詫びた。

携帯電話がマナーモードになっていた。
私は、女房が東京に帰ることで意気消沈していて、
すべての気力を失っていた。
携帯電話を見ることも面倒臭くなっていた。
私はあらためて、夫婦が遠くで暮らすことは良くないな、と思った。