「転々」(藤田 宜永著 新潮文庫)を読みました。
サラ金に84万円の借金のある21歳の大学生竹村文哉が主人公だ。
取り立て屋に追われてアパートもかえた。
しかし、いつも借金取りに怯えて暮らしていた。
そんな文哉にある男が訪ねてきた。
はじめは借金取りかなと思ったが、ちがった。
男と東京を散歩をすれば百万円をあげようという。
男は妻を殺してしまった。
桜田門の警視庁まで歩いて行って、
そして、日本一の警察に自首するまでつきあえと文哉にいう。
もう、マグロ漁かトビウオ漁の船に乗って、
借金を体で払うしかない文哉は、男に疑念を抱きつつ、
男の散歩につきあうことにした。
東京散歩のスタートは井の頭公園だ。
そして、善福寺池、井草八幡宮、西荻窪、中野、新井薬師前、
哲学道、高田三丁目、鬼子母神、池袋、北大塚、西巣鴨、
本駒込五丁目、動坂、谷中八丁目、根津神社、谷中霊園、丸の内、
と散歩は続けられた。
道々、文哉と男はいろいろな話をする。
それで文哉の過去の生い立ちなどが分かってくる。
文哉の恋するストリッパーとの話もでてくる。
読み始めて半ばぐらいまでは非常に面白かった。
しかし、途中からその勢いが少しづつ衰えてきた。
物語の最後はけっこうかなり強引な展開となっていく。
そこまで盛り上げなくても充分に面白いのに…。